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デコ文字

幼稚園年長さんの甥っ子が、気がついたらすっかり“男の子”になってしまってちょっと寂しい。
 
こっちの都合でべたべたすると邪魔っけにされるし(向こうの都合では来る)、もうこの子は一生泳げないんじゃないかとおもっていたけど泳げるようになったし、サッカーのドリブルも上手になってきたし、虫もひとりで捕まえられるし、隙あらば自転車を乗り回してどこかへ行こうとする。
 
そしてなにより悲しいことに、ものすごい勢いで男子特有のしょうもない言動が増えつつある。
 
息子はおかあさんのちいさな恋人、という説もあるけれど、彼はわたしの甥なのでそんな甘い関係にはなるわけがなく、わたしはこの年齢になって初めて、男子という生き物の実態を知って驚いてばかりいる。どうせなら、もっと早く知りたかった。
 
すぐに誰かに言いふらしてしまうので、甥の前で話せないことも多くなって不便だ。(でもコソコソすると絶対についてくる)文字も読めるので筆談もきっと危ない。漢文でもするか。レ点とか一二点しか覚えていないけど。
 
どこで見ているのやら、甥にも知っている漢字はあって、自分の名前の漢字や簡単な構造の漢字はわかっていたりする。
 
夏休みに甥のリクエストで回転寿司屋さんに行った時も、メニューにあった“籠”という字を指して、「ねぇねぇ、この字ドラゴンって書いてある」と言っていた。彼の名前は龍という。
 
「ほんまや。でもちょっと違うけど。カゴって読むねん」
 
「ふうん……りゅうさぁ、この字も知ってる」 (と、“中トロ”を指す)
 
「すごーい、おしえて?」
 
「にくとろ」
 
 
 
……にくとろ?
 
一瞬固まったあとに、妹と爆笑してしまった。惜しい! 惜しいよ、りゅう! 
 
「りゅう、それラーメンマンやん! キン肉マンのおでこの字は、もうちょっと違かったやろ?」
 
息も絶え絶えになりながら笑った。おもいだすと、今でもあったかい気持ちになる。
 
 
 
ところで、甥はキン肉マンのことをどこで知ったのだろう? 再放送をしているのか? りゅうは、こっそりわたしが近づいてみると、何故かGAOの『サヨナラ』を歌っていたりするので、本当は何歳なのかわからなくなる時がある。
 
 

 

 

 

 

 

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