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プレゼント

そういえば、今年の母の日には家族で大きな花束を母に贈ったのだった。
 
母も喜んでくれて、花を保たせる薬を花瓶に入れたりして結構長く咲いていた。今はさすがに随分間引いて、まだ咲いているお花だけを水に浮かべているけれど。

それを見た5歳の甥が、母のいない時にそっとわたしに「おばばちゃんがこのお花大切にしてるん、なんで?」と訊ねてきた。
 
「そりゃあ、りゅう(甥の名)がくれたんやもん。大事にするよ」(プレゼンターは彼だった) 

ふうん、と言いながらも甥は納得できない顔で「でも、おばばちゃんはお花あげた時にいらんって言ってたのにな」と呟いていた。
 
そうやっけ? とおもいかえしてみると、確かに母はお花を贈呈した時に「こんなんいいのに~」と言っていた。
 
 
相手が遠慮しているというのは、何歳くらいから解るんだろう。甥はたまに自分でも「いいよ、いいよ!」と遠慮している風のことを言うことがあるので、てっきりそのあたりのことは弁えていると勘違いしていた。
 
かくいうわたしも、これは遠慮か? それとも「迷惑です」の婉曲表現か?? と本気で悩むことはよくある。
 
 
むずかしいねぇ。でもおばばちゃんは喜んでいたよ、ということを甥に伝えるのと同時に、
 
「あのね、女の子の“いいのに”はたいがいの場合、真に受けるのはよくないから。迷ったらとりあえずGO! 肝に銘じて!」
 
と、話しておいた。意味は解らないだろうが、こういうことの積み重ねがいつか差になるような気がする。
 
伯母からのささやかなプレゼントだ。

 
ところで、我が家では、母の日はカーネーション以外の花を贈る慣わしになっている。それは、小学生のわたしが、母の日にカーネーションを渡したところ「お母さん、カーネーションめっちゃ嫌いやねん」と一蹴されたことによる。
 
母的には、オリジナリティを養うべくの荒療治だったのかもしれない。けれど甥には、こういう親族のもとに生まれてきたからには、もっとハートを鍛えないと大きくなれないぞ、とおもう。

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試練

夕方のニュースを観られるときは、「かんさい情報ネット ten」という10チャンネルのニュースに合わせることにしている。
うまくいけば、木曜日に浅越ゴエが観られるし、金曜日に千原兄弟のお兄ちゃんがでるし、それよりなにより番組の最後の最後にある、「めばえ」というその日生まれたての赤ちゃんが紹介されるコーナーが、わたしは大好きなのだ。 
 
「めばえ」は産院で赤ちゃんを囲む家族が撮影されていて、ついさっき殺伐としたニュースを観て感じていた世も末感が一気に払拭されるほどのしあわせムードだ。
 
そして出産直後でへとへとのお母さんの清らかな様子に涙したり、それでもバッチリフルメイクのお母さんに恐れ入ったりする。
生まれてきた赤ちゃんの兄姉達は、お父さんやお母さんに警戒されながらも(なにせ扱いが荒い)、それぞれが可愛がろうとしているのが微笑ましい。たまに拗ねている子供もいたりして。その気持ち、すごく解る。わたしも昔は妹のことがすごく嫌いだったから。
 
わたしの妹が第二子を生んだときのことをおもいだす。オトナの前で優等生を装おうとする上の甥っ子が、生まれたての弟を結構可愛がっていたので親族一同見守っていたら、案の定いざ退院というときに、
 
「え?なんで!? こいつもオレん家来るんけ?」
 
と、わんわん泣きだしてしまったのだった。
 
 
よっぽど年の離れたきょうだいでなければよくあることだろうけど、生まれてすぐ、その小さき身体に本気の憎悪を受ける境遇っていうのもなかなかハードだ。
 
ごめんね、ってすこしおもう(うちの妹に)。
 
わたしと妹は、いろいろな時期を経て仲良くなったけど、ちゃんと「姉妹」だった時間は結構短かった。
 
自分のそういう気持ちもあって、「めばえ」で赤ちゃんをぐいぐい撫でてる子供達に、早く本当に打ち解ければいいね、とテレビの前でわたしは祈っているけれど、実は案外みんなあっさりとお兄ちゃんお姉ちゃんになったりしているのかな。
 
 
そうであれば、度量の小さいのは家系ということになる。 

 

 

 

 

 


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Q&A  

突然に、本当に突然に「芸能人とかで、ど真ん中やなーっていう好みの顔ってどういうのですか?」と訊かれる。
 
自慢じゃないが、あのひとがすき! と言うと、だいたい賛否両論が巻き起こる(おもに否)このわたしに。しかし、この手の質問は真剣に考えて答えるようなものでもないだろう。急いで(心の)すきな人ファイルのなるたけハンサムを繰ると、それは“田辺誠一”だった。
 
口にしながらも、当の本人もちょっと違うな……とおもったが、その場にいたみんなに、やっぱりうへへと笑われた。何でよ! 田辺誠一、元モデルやのに! しゅっとしてるよ?
 
わたしはせつせつと、田辺誠一の魅力を語ったけれど、実のところ質問の答えとしては納得できていなかっただけに、最後はかなり気弱なものになった。
 
 
「それなら、今度こういうことになった時のために考えてあげますよ!」と言われ、じゃあわたしは垂れ目の人がすきです奥二重か一重の、と答えると、色々話し合った末に、
 
「それは“岸部一徳”ですね」
 
と、断言される。
 
 
え……っ、岸部一徳……。生まれてこのかた意識したことがないよ……。
 
 
そのうちに、スマートフォンで岸部一徳を調べだした者が、「わぁ、岸部一徳の出身地は京都ですよ」「タキガワさん、べーシストが好きって言ってましたよね(※)。ジュリーも認める腕前だそうです」「背も高いらしいし、いいやん。運命じゃないですか?」
 
運命、運命というけれど、こんな片田舎のおばちゃんに何ができるというのか! 
 
ていうか、岸部一徳は加齢のせいでそう見えるかもしれないが、垂れ目というわけではないのではないか。
 
 
 
 
※べーシストが好き →  これは10年近く前に、「しあわせを掴む女子は、バンドでいうとべーシストの人を好きと言う」説を提唱していたわたしが、これからは絶対そういう嗜好になる! と息巻いていたことに端を発する。 
そんな血迷っていた時期の発言は、さっさと忘れて欲しかった。

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ピンクとわたし

買ったり頂戴したりで、我が家に苺が集結した。
 
苺はそのまま食べるのがすきだけれど、さすがに傷んでしまうので、一部をジャムにして一部をヨーグルトと混ぜてジュースにして消費した。
 
ジュースは自分の分だけつくったつもりが、想定量の倍ほどになった。飲む? と、パソコンをしていた父のところに持っていくと、父は「おお、めっちゃええピンクしとるやんけ」と喜んでいた。本人は嫌がっているが、父はタキガワ家で最も女子力が高く、最もピンクが似合う。わたしは、子供の頃からかわいいものに対する憧れやコンプレックスが強いので、死ぬほど羨ましい。
  
そんなわたしのイメージを、ピンクだと言ってくれたひとが過去にひとりだけいた。
 
友人と訪れたバーで、「わたし達のイメージでカクテルをつくってください!」というのをお願いしたのだ(ひかないで! 昔の話だから!)。
 
その時につくってもらったわたしのカクテルが、乳白色のピンクだった。すーっごく嬉しくて、何で? 何でピンク? と勢い込んだら、バーのマスターはひとこと、
 
「エロそうやから」
 
と、言った。 
 
 
そっちのピンクかい!
 
 
おもわず飛びだすベタなツッコミ。わたしは下ネタを言ったりしないし、人様にお聞かせできる武勇伝のひとつもないというのに。それなのに初対面のひとに指摘されるくらい、何かが滲みでているというのか。失礼な。人並みよ!
 
あいつエロそう、とおもわれるのは、エロいな、って言われるのより内に秘めた感じがする。隠し切れずにでちゃった感。
 
少なくとも、今よりも血気盛んな時代のことだと信じたいけれども、もしかして今もみんなそうおもってる? もしそうならちゃんと言って! あ、だめ、やっぱり言わないで!

 


 

 

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シンクロニクル参號

先日お知らせした、加楽幽明さん編集の「シンクロニクル参號」ですが、架空ストアさんにて委託販売されることになったそうです!
 
http://store.retro-biz.com/list_t2.html
シンクロニクルに寄稿されていた方々の作品も、数多く揃っていますので、いろいろ探してみるのも愉しいです。
本だけじゃないので、散財しそう!
 
どうぞよろしくお願いいたします。

 

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素敵ソース

これまでに、お料理の本を読んでいると『中濃ソース』と表記されていることが何度かあった。

その度に、中濃ソースとはなんだろう…東京のソースだろうか…それとも新商品?何ソースと何ソースの中間の濃さなんだろう…とおもいを巡らせながら暮らしてきた。

母は、一緒に台所に立っていたわたしが「中濃ソースを試してみたい」と言っていたのを憶えてくれていたらしく、今日になって突然「みつけたで!」と買ってきてくれた。

早速家族で味見する。
あ、ソースだ。

食してみて驚いた。響かない。わたしの人生になくてもいいかな、中濃は。

家族もだいたい似たようなことを言った。

中濃ソースには悪いが、『とんかつソース』とか『お好み焼きソース』『たこ焼きソース』のように用途がはっきり伝わってこないせいか、主張が足りないような気がする。何に使ってもいいソースってことだろうか。じゃあ、ウスターソースの立場は?

もしかして特濃とかもあるの? あ、それはどろソースのことか。
 
謎が深まるソース業界。

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コトリの宮殿6号

フリーペーパー コトリの宮殿6号に、『真紅の瞳』という作品を載せていただいています。

山下昇平さんのオブジェをみてイメージして書いた超短編で、3月に行われたSFファン交流会のための作品です。
山下さんのオブジェありきのものなので、このブログに置くことはありません。是非フリーペーパーでご覧ください!
 
ちなみにコトリの宮殿6号は、タカスギさんより余分にお預かりしましたので、タキガワからもお分けできます。

ご希望の方はどうぞ!

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