おしえて! ヨシズミさん!
2年ほどまえに、自分用の裁縫箱をつくった。と、いっても、空いたカゴにぽんぽんと道具を放り込んだだけのシロモノなのだけれども。
以来、あえて何かを買い足したわけではないが、これといって不自由はない。まぁ、裾あげと釦付けくらいしかしないから、当然だ。
それでも唯一裁ちバサミは買わないとなぁ……とおもっていたのだが、押入れを整理した時に、母のものが余っているのをみつけて貰ってしまった。
ところが、この裁ちバサミが切れないことこのうえないのだ。
でかいなりして、糸しか切れない(しかも糸切りバサミはよく切れるのがある)。工作バサミのほうがシャキシャキと布を裁てるとは何たることだ。あっさりとセラミックに抜きんでられてよいのか? 立ち上がれ! 鋼の裁ちバサミ!
おそらく、彼を砥ぎ屋さんに持っていけば活躍してくれるだろう。しかし面倒。道中、職務質問でも受けてしまったら、銃刀法違反とかでしょっぴかれるかもしれないし(言い訳)。
ああ、こんな時にヨシズミさんがいてくれたなら。
タウンページのCMをみるたびに、「結局タウンページをひくって……。石原良純に頼むまでもないわ!」と悪態をついていたけれど、やっぱりわたし、ヨシズミさんがいないと何にもできない。
会いたい時に、ヨシズミさんはいない。何故なら、別にどうでもいい時にさえもヨシズミさんがわたしの前に現れたことはないからだ。
ヨシズミさんなしの人生をわたしは生きてゆく。切れないハサミを携えて。
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