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夏の陽

夏の終わりを前にして、我が家の洗濯ばさみが続々と力尽きている。

陽に晒されたがさがさのカラダが、エイセイボーロのようにはかなく崩れてゆく。

 

お疲れさま。

暑かったよなぁ。

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甘露

日中はまだまだ暑いが、さすがに朝夕は涼しくなってきた。

1ヶ月ほど前までは、朝か夕方に30分ほど走っていたのだけれど、熱中症になってしまってからは中断していた。そろそろ再開しようか。

もともとスポーツはすきじゃないので、走りだすまでは忘れていたのだが、走り終えてぜーぜーしながら飲むお茶は、ありえないくらいにおいしい。

 

わたしは中学校の時にテニス部にはいっていた。夏場は1.5リットルの魔法瓶と、2リットルのペットボトルに凍らせたお茶を2本持って学校に行っていた。おかあさん、ありがとう。

しかし、わたしは部活中ノー給水ジェネレーションでもあるので、こまめな水分補給なんて常識はどこにもなかった。グラウンドの片隅にラインテープとネットが張られたコートは、皆が駆け回るたびに、もうもうと砂煙がたつ。それを防ぐために水撒きをするのだが、水汲みをよそおって水をがぶがぶ飲んだ。

その蛇口は地面に埋まっていて、バケツに汲む水は泥水に近かった。でも汚いと言う女子はひとりもいなかった。お腹をこわしたひともいなかった。

あの時代、日本各地で大変な数のスポーツマンがあやしい水を飲んでいただろう。

 

でも、今。

汗だくだくで飲むお茶は、あの泥水のおいしさを寸分違わず蘇らせてくれるのだ。それなりにつらかったはずなのに、むしろ素敵な思い出として蘇ってくれるのだ。

しかし年を重ねて弱ったわたしの胃腸は、突然の冷たいお茶の摂取により、かなりな確率で痛みだす。

安全って何だ。

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わたしのかたち

あなたのすきなものは、本当にあなたがすきなものなの?

 

甥っ子(2歳4ヶ月)が、何をしていても必ずテレビの前に走ってくるCMというものがいくつかある。

そのうちのひとつが資生堂UNOのCMだ。モッズファッションの俳優さん4人が、イギリスで楽しげに過ごしているやつ。

どぅくどぅんどぅんるんるんるんるん…。

先日のこと。甥っ子とお風呂に入ったあと、居間に戻るとちょうどその音楽が聴こえてきたので、わたしはついつい

「あ、りゅう(甥の名)ー。りゅうちゃんのすきなんが流れてるでー」

と、甥を呼んだ。

すでにテレビに近付いてきていた甥は、CMを最後まで観たあとにぽつんと、

「これ、りゅうちゃんのすきなやつ」

と、何回も噛みしめるように呟いていた。

 

よかったのだろうか。

 

おそらく彼はUNOのCMが気に入っているのであろうと感じて、わたしは「すき」という言葉を当てはめてしまったが、甥が一体どういう心持ちなのかは解らないのだ。

第一、おもいかえせばCMをみつめる甥の横顔はたいてい真顔だった。

すきならもうちょっと浮かれた顔するよなぁ?いや、感じることに夢中な時は表情なんて気にしてられないという説もあるかもしれない。けど、やっぱり滲みでちゃうような。

甥はすでに何タイプかあるUNOのCMのうちのどれかひとつを待っていただけかもしれない。

どぅくどぅんどぅん…という音楽をマスターしようと耳を澄ましていたのかもしれない。

『おれも将来瑛太になって、木村カエラちゃんと結婚したいなー』とおもっていたのかもしれない。

もしもそうならば、ほんの少しずれているような気がする。

 

まぁ、わたしだってあなたとは異なる「すき」を抱えてきたかもしれないが、だからって別にどうということはないけれど。

あ、でも子供の頃にわたしは『カーキ色』を濃いベージュと間違えていて、ひとを危ない目に遭わせかけたことがあったので、言葉は正しく使うに越したことはない。

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