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正しい利用法

もう暖かくなってきたので必要ないが、この冬はスリッパを履いていた。

表が青いスウェード地で、内側にボアが張られており、たいへん温かった。母が貰ってきたものの、サイズが合わずにわたしにくれたのだ。

うちは板の間がない家なので(廊下まで絨毯張り)、今までスリッパを履く習慣が誰にもなかった。お客さん用のものもない。

はじめてのスリッパの温かさは素晴らしい。こんなにいいものならもっと早く導入するべきだった…と、遅すぎた出会いに涙した。

ところが、父がわたしの目を盗んで、スリッパを履きだすようになったのだ。

それはわたしが出掛けている隙にということではない(実際はそういう時も履いているのかもしれないが)。例えば、わたしがホットカーペットの上に座った際や、トイレに入った瞬間など、わたしがスリッパを傍らに脱いだ折にすっと履く。

お、こんなところにスリッパが…という態で、履いているのである。

わたしだって、そんなことに目くじらを立てたくはない。けれどスリッパってそういうものじゃないでしょう?みんなで仲良くシェアしちゃうようなものではないでしょう?あれはわたしの、わたしだけのスリッパなんでしょう?

わたしはせつせつと訴えた。

その結果。

父は“断ってから履く”ようになった。

 

「おい、使ってへんねやったら貸してくれ~」

 

春を迎え、傷がふるくなったわたしは、ようやく振り返ることができる。

スリッパって、そういうもんだ、と。

冬。タキガワ家父娘にもたらされたスリッパは、たった数ヶ月間の使用とはおもえないほどのくたびれをみせている。

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くうねるところにすむところ

春がきたっぽい。

我が家も相当老朽化しているので、リフォームなどのお手入れを行わないといけない。

その話になると、母はいつも「床暖房にしたい」と言っているのだが、この冬もなんとなくホットカーペットとファンヒーターで凌いでしまった。

うちの家のひとたちは、集まるとくっつきあう習性があるため、一畳とちょっとのスペースに185センチ(父)と171センチ(わたし)と155センチ(母)の3人が床でごろごろ重なり合っている。

お嫁に行った妹の家族が遊びに来ると、そこに168センチ(妹)と80センチ(甥っ子)が加わって、もうテレビの前は芋洗いのごとく混み合う。

床暖房がどのくらいのスペースで温まるものなのか、家族じゅう知らないのだが、フローリングの床で寝転ぶのは痛かろう。ソファを置くのもよさそうだが、狭苦しいのは嫌だ。

「ならば、炬燵で!」

と、これも毎回父がプッシュするが、父以外の人間が炬燵嫌いなもので、これも実現しない。

家族間での民主主義では答えがでない。

 

 

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イナバ物置

甥っ子がやけに静かにしているなぁ、と気にしつつも洗いものを片付けていた。

さて、と手を拭いて振り返ると、いつの間にか甥はわたしの携帯電話をいじっていたらしい。ロックをかけてあるので、まあよい。わたしは食器を仕舞いにかかった。

甥は、二つ折りの携帯電話をぱかぱかしていた。その度に浮かぶ、待ち受け画面の自分の写真をみて、嬉しそうにしている。

おもむろに、甥が開けた携帯電話を伏せて床に置いた(“へ”の状態)。そして、さあ!俺をみよ!とばかりにその上に載るではないか。

 

にゃなあああああ!

 

だしたことのない奇声をあげ、甥に駆け寄るわたし。

驚いたことに、携帯電話は無事だった。

 

すごいな!携帯電話の蝶番よ!

12キロの重さに耐えるのか。

でも、もう二度とわざわざ載って欲しくない。

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パンを焼く

最近、友人がやたらとパンを焼いているのを知り、へぇ、というスタンスをとりつつも、実はすこし羨ましかった。

なのでマイベストオブパン、ミルク食パンを焼いてやった。

しかし、イースト菌とはかわいそうなものだ。真空パックになったドライイーストをやっと開封されたかとおもえば、二時間ほどで焼かれちゃうなんてな。

おいしいものを食べるために、ひとはそこまでするものか。すまぬ。

 

そういえば、『アンパンマン』のドキンちゃんは食パンマンのことがすきらしいが、すごくすばらしいセレクトだとおもう。アンパンマンは忙しそうで、女子の心の機微など汲み取ってくれそうにないし、カレーパンマンは案外しあわせになれるのかもしれないが、カレー吐くのはちょっとな…とおもってしまうよね。やっぱり。

わたしも食パンマンがすきだなぁ…。でも、身の程を弁えると、天丼マンあたりに落ち着いてしまうのかもしれない。うん、いいとこあるよね。天丼マンも。

 

余計なことを考えていたせいか、パン生地が妙に膨らみすぎてしまい、焼きあがる前にてっぺんが焦げてしまった。(焦げをひっぺがして焼きなおしたが)

あー、またやろう。

 

 

 

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適正音量

父が最近ステレオいじりを愉しんでいる。

スピーカーを何やら付け替えては、大音量で音楽を流している。

父はテレビの音量でもなんでも、とんでもなく大きな音にするので、しょっちゅう諍いになる。わたしは大きな音が苦手で、特に左側からする突発的な音に弱い。

まあ、父は父なりに気を遣ってくれていて、できる限り音を絞ってくれているようだが、いかんせん大きい。 ドア2枚隔てていても余裕で聞こえてくるくらい大きい。

 

「もう齢やから、耳遠いねん」

父はいつもそう言う。

 

それはあるのかもしれないが、曲と曲の合間に、わたしがこっそり5目盛りくらいずつ、音量を下げていっても、違和感のない様子。

充分聞こえてんねやん。

“老人”を盾に主張するなんて、フェアじゃないぞー!

 

しかし、スピーカーをいくら工夫しても、音源が有線…というのは、いかにもうちの父らしくてなんとも微笑ましい。

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