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おいしいもの

なんでも自分でやりたい時期の甥っ子(1歳5ヶ月)は、お手伝いされると嫌がって暴れだすので、おとなはただただ見守っているしかない。けれどもちろん、本人にも納得いかないことばかりで、やっぱり癇癪をおこしている。

手出しした時の彼の苛立ちが最も激しくなるのは食事どきで、おかずやごはん粒を投げたり、食器を投げたりしながらも、最後には結局、恐ろしいほどの量をたいらげる。

現在、胃をこわしているわたし以上の量をたべる。大丈夫か、ちびさんよ。

 

用意したごはんがすべてなくなり、皿に残った汁までなめたあと、それでももっと食べさせろ!と騒ぐので、チチヤス低糖ヨーグルトをだしてやった。(彼はプレーンヨーグルトは食べない)

チチヤス低糖は、彼の人生史上もっともおいしいものとされていて、他の食べものだと力ずくで奪ってくるくせに、チチヤスのときはちょっと違う。

チチヤスを、彼は自分で口に運ばない。自分でやると、全体の何パーセントかをこぼして無駄にすることを解っているのだ。

なるべく頭をうごかさないように、顎を心持ち上に向け、ぱかっと口をあけて待っている。

そして、チチヤスがはいってくると、目をうっすら閉じて舌を転がすようにして味わっている。周りのおとなはそれをみると絶対爆笑してしまうのだが、彼には聞こえない。

今、宇宙に存在するのは我とチチヤスのみ。

 

深遠な表情でチチヤスと対峙する甥。

彼がチチヤスのある日本に生まれてこられて本当によかったとおもう。

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