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そですりあうも

絵が描けた。というよりも、ここまでにしようと諦めた。

完成した作品を持って画材店へ向かう。額装してもらうのだ。額はあらかじめ選んでおいたので、マットという、絵と額の間につける厚紙の枠をどれにするか決める。色や質感はもちろん、斜めにカットされる厚紙の切断面の色も種類があり、絵の印象を左右する重要な選択だ。そしてわたしはこういうことが苦手だ。

作業台のはじっこで見本のマットを絵と額にあてながら、ためつすがめつしていると、どこかの絵画教室の生徒さんたちが団体で額装に来られていた。わたしと同じように、展示会が近いのだろう。秋だなぁ。

今回、わたしは大きめのサイズの作品を描いていたので、非常に作業台のスペースをとっていて申し訳ない。すみません、とひとこと謝ると、やけに気さくなおじさんやおばさんたちに取り囲まれる。

「わぁ、なんというか繊細やなぁ」

あ、ありがとうございます~。

「何年くらい描いてんの?」

10年、です。

「いやっ、ちょっと!キサキさん!キサキさーん!このひと(わたしだ)、ザクロ描いてはるわ!みしてもらい!」「いやー、ほんまや~、どこの絵の具?」「鮮やかやねぇ」「こつ教えて、こつ!」

こつ、って…と脱力しながらも、おもいつく限りをお話しする。途中、出品予定ではないが持ってきていた絵がどこかへいってしまい肝を冷やしたが、あるおばさんが他のおばさんにみせに行っていただけだった。

凄まじいな…。

最後にそこの教室の先生だとおぼしい方がスッとわたしに近寄って、

「あなたね、過ぎるほどに繊細なまま、そこを大事にして生きてかなきゃだめよ!恥ずかしくなんかないんだよ!」

と、やけにひねりのきいた仕草で言い置いて去られた。

感想?警鐘?占い?カリスマ?

 

なんだかよく解らないまま、22日からの絵画展の準備は調った。

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