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しあわせ病

 だいすきな男が、病気に罹ってしまった。体温が上昇するごとに、どんどん身体が縮んでゆくという原因不明の熱病である。

 ゆうべ、男は2年ものの梅酒の梅の実を、8つぺろりとたべて笑っていたのだという。男の部屋に入ったわたしはまず、その話を聞かされた。男の恋人であるところの、わたしの友人に。

「こんなことならもっとたべさせてあげればよかったわ」

 彼女は泣き腫らした瞼をしている。わたしは、梅をたべさせ続ければ縮むくらいでは済まなかったかもしれないし、と友人の背中を撫でた。

「今もずっと縮んでるの」

 男は、黄色いプラスチックの弁当箱に敷かれた脱脂綿のなかに、くたりと埋まりかけていた。彼にはこんなにあかるい色は似合わない。爪のさきで摘み上げると、予想以上に熱くて床にとり落としてしまう。

 友人は、ずっと俯いて泣いていた。

 わたしは落ちた男の代わりに、床に残ったパン屑を弁当箱に入れた。フローリングと男の膚色が同化していて、目だけで探し当てるのは一苦労だった。やっと見つけた男をポケットに隠すと、熱を放つその一点が、洋服越しからでもわたしの脚を灼きつける。ひりひりと爛れてゆくのを感じる。

 いつか砂粒よりもちいさくなった男が、とけたわたしの皮膚と混じりあうならそれもいい。

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視界の隅

最近、ふふっと虫が飛んできたような気がする時がある。気がする。

見聞きしたことをその都度きっちり忘れてしまうのが、わたしだ。だが、それは危険なしるしだったような。どうしよう。

でも、ほんとに飛んでたんじゃないかしら、という気もする。

じゃあよし、確かめてやろうじゃないか!と身構えても、羽虫いっぴき寄りつきやしない。飛んだような気もしやしない。

ところで夜寝るときに浮かぶ、まぶたの裏側に流れるサイケな模様。孔雀の羽っぽい色彩の。あれはやはりみんなも見えているのだろうか。明るいところで目を開けてても見えるよね。

わたしのは、ちっこいドーナツ型の楕円が、割と速いスピードで左から右へ流れてゆく。

小学生の頃、理科で「赤血球」を習ったわたしは、まぶたに見えるのはあれだったんだ!とおもった。

でもどうだろう。わたしの裸眼は0・4だ。

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誰かの差し金

職場には、個人の鍵付きの引き出しのほかに、メールボックスがある。給料明細とかお知らせとかを入れる浅い引き出しだ。

そのわたしのメールボックスに、いきなり「犬夜叉4巻」が入っていた。しかも上司が先に見つけたため、軽く指摘されてしまった。

ち、違うんです!濡れ衣なんですぅ!誰かが間違ったんですよ、きっと!

しかし、メールボックスの上下段にあたるひとに訊いてみたが、心当たりがないという。

どういうことだ。誰かがわたしを貶めようとしているのか。わたしの地位を狙っているのか。それともただのお薦め図書か。でも4巻て。せめて1巻から入れてくれよ。

よーし、これから付近の聞き込みだ!

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保守的な職場

職場のひとがセブ島に行ったお土産に、お菓子をくれた。

詳しくはよく解らない(英語なので)。とにかくドリアンのお菓子だ。しかも結構でかい。なのにふたつ貰った。

それが10日ほど前のことで、わたしはもともと外国のお菓子をあまりたべないので、なんとなく眺めているだけだった。どんな味するのかな、とか。果物の王様なんだよな、とか。女王様のマンゴスチンはライチ味なような気がするけどどうだろな、とか。

今日ふとお土産を貰ったひとたちに、どんな味しました?やっぱりくさいんですか?と訊いてみると、だれも恐くてたべていないと言う。

みんな部屋の隅っこにまるまって、お菓子の包みをじっと見つめていた。

…いくらくさいって言ってもねぇ。所詮は植物なんだし。えーでも、生ごみチックとか聞きますよ、匂いが。たしかに生ごみも植物生まれだけど、あれは腐ってるんでしょう?みずみずしいのに腐ってるなんて王様じゃないよ!

王様の真価が問われるとき。

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やっとあえたね

久々に、大阪・梅田まででかけた。

さてごはんでもたべようか、とうろうろしていると、10メートルほど先で1歳半くらいの男の子がじっとこちらを見ていた。

あー見てるなー、とおもいながらも歩をすすめると、覚束ない足どりで男の子が駆け寄ってくるではないか。

わたしは子供になつかれるようなキャラクターでは決してない。そんなわたしの足にがっちりとしがみつく幼児。ものすごくにこにこしている。

そのまま引き摺るようにして歩いてゆくわけにもいかず、かといってお母様に断りもなく抱き上げるわけにもいかず、わたしはただ立ち尽くしていた。

お母様が救出に来てくださったが、子供はわたしの手を握り締めて離さなかった。幼児らしからぬ握力だった。

  

…と、いう話を職場のひとにした。あんなにひとなつこかったら親も心配するでしょうね。

すると占いやオーラに造詣の深い彼女は言った。

「タキガワさん。それは前世からの因縁ですよ」

彼女が立てた仮説としてはこうだ。

①前世で親子だった。

②運命の相手(彼の成人後に結婚)。

③わたしが産んだ娘と結婚することになる、将来の息子。

もしも②だったらどうしよう。一生結婚できないって言われるよりはいいけど、あと20年は長い。それだったら運命なんてどうだっていいよ…。多分、わたしも顔憶えてないし(憶えられないし)。

とりあえず、彼女はオーラの泉を観過ぎている。それだけは確かだ。

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言いたい放題

ちらりとでもおもったことを、とりあえずガンガン言う友人がいる。気が合うことに、わたしもそういう性質なので一緒にいると大層楽だ。

口にだして言う言葉だけではなくて、送ってくるメールもそうで、送信されてくるメールはいつも長めだ。そこはわたしと違うところだ。

寝しなに携帯電話が震えた。

「今日映画観に行ったけど、人がいっぱいだったから止めて、本屋行ったわ。傘袋がなくなってたから、濡れ傘のまま店入ったら怒られた。傘袋持ち歩いてやろうかとおもった。どこで売ってんやろ。あの映画絶対観たい!明日休みなん?じゃ、オヤスミ☆」

ぇえ?ちょっと!友人よ!

「オヤスミ☆」じゃねーよ、もう寝るんかい!今「明日休み?」ってわたしに聞いてきたところじゃないんか!

わたし、返信したらだめなの??ねえ?

この友人と遊ぶたびに、そんな脈絡のないことで大丈夫か?とおもう。

でも、多分、わたしもおもわれている。

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そしてグルメ第三夜

もちろん誰に頼まれたわけではない。最終夜です。

グルメのことを考えるついでに、誰もが一度は考えたことがあるという「もしわたしが食わず嫌い王決定戦に出演したら…」を想像してみた。

食わず嫌い、というのだから、やはりここは「食わず嫌いだったけど、食べてみたらおいしかったもの」、そして「食わず嫌いだったけど、食べたらやっぱりまずかったもの」で構成するのがいいとおもうのだ。

①生ハムメロン ②はんぺん ③ツナマヨおにぎり ④よっちゃんイカ

でも、一応ひと通り食事をするわけだから、より献立っぽい流れを考えておいた方が自然か。

①豆ごはん ②カラスガレイの煮付け ③蜆のお味噌汁 ④甘食

しかし、最終的にはやはり勝ちに行きたいところだ。対戦相手の読みにゆさぶりをかけてゆきたい。というわけで色々考えた結果、今のところのお品書きは以下。

①マーボーなす ②煮なす ③焼きなす ④揚げなす

なんとか決定してよかった。ここまでくるのに1日かかった。あとはお土産を何にするかだ。

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グルメのその後を考える

北京ダックは本当に皮だけしか食べないのだろうか。

あの、まるまると残った身の部分はどうなるのだろうか。

賄などで食すのか。でも、北京ダックがしょっちゅう出るような高級中華料理店だと、コックさんも飽きてしまうではないか。

今日のダックはひとり一羽です!とか。丹精こめて北京ダックを焼き上げたあとにそんな仕打ち…。だめだよ!コックさん辛すぎて辞めちゃうよ…!

そして考えに考えたコックさんがとった行動…。それは庶民の中華サラダへのダック混入…。

鶏のささみの振りをして、和えられゆくダックの肉。

よ~く噛み締めてみよう。そこに違うトリは混じってはいまいか。それはコックさんの愛情。

北京ダックがメニューにあるお店に行く際は、気をつけてみよう。

  

  

以上、今日の妄想でした。

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グルメと健康を考える

家に帰ると母が打ちひしがれていた。

ひとから、ハムにソースをかけて食べるのは体によくない…と言われたらしい。本当だろうか。なにやら着色料が関係あるそうだ。

ならば高級ハムを食べればいいじゃない、自然派のやつ。とわたしが言うと、ソースをかけるのは安いハム、それも扇形ではじっこに赤い色が付いているものが最高なのだ!と力説する。

可哀想な母。大好物のハムを我慢しないといけないなんて!

どうしよう、どうしよう、と嘆きながら、母はハムカツサンドを頬張っていた。

それはハムで。

そしてソースで。

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醸しだすもの

知人が実行委員をしている映画祭に行ってきた。

かなりのどかな場所で行われたので、途中でちょっと挫けそうになった。

帰り、30分に1本しかこない電車を待っていると、初老の男性がふらっと歩いてきた。

わたしの隣にいたおばあさんに積極的に声を掛けている。

「荷物重たそうやね。持ってあげようか?どこ行くん?きれいな服やね。ジュースのむ?」

ナ、ナンパだ!

おばあさんは困ったように笑っていた。なかなかつれないおばあさんに業を煮やしたか、男性はまたふらっと動きはじめた。ちょっと恐いので、わたしは下を向いていた。

今度は女子高生に話しかけている。

女子高生は軽い相槌をうってはいたが、やはりつれない対応。男性もしばらくは頑張っていたが、諦めたようだ。

…残る女子はわたし、ただひとり。

ところが男性はふらふらとベンチに向かい、ひとりで腰を下ろしているではないか!え?おい!ちょっと、わたしは??

声を掛けたふたりの女性が結構逃げ腰だったからか。おばあさんと女子高生に声を掛けたことによって、真ん中世代のわたしにも話しかけた気になっているのか。違うでしょうが!それなら真ん中のわたしにまず言ってこないと!ひとりで済んだじゃん!

異様にごとごと振動する電車に揺られながら、ちょっぴり泣けた。

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ちょっと旅~おもいで編~

無事に帰ってこられた。よかった。ただ富士山ビューの席には座れなかった。まあいい。そこまでかみさまにお願いするのは、すこし図々しかった。

「点字ものがたり2006」が行われた谷中は、とてもよい町でした。おもったより人通りがたくさんありました。

点字見取り表をスタッフの方にいただいたので、自分でも読んでみる。点字。10分以上かかって30センチ。文字を見取り表で照合している間に、読み取った文字を忘れてしまうので大変。

働くひとや、道行くひとを省みず、こつこつ楽しむ。すみません。主催の坂部さんからいただいた解答(物語のプリント)をみて、自分の鈍くささを呪った。読み取れた物語の断片、ちょろっと。

500文字の心臓関係の、タカスギシンタロさんみねぎしさん五十嵐彪太さんのお顔をかなり久々に拝見。嬉しかった。はじめてお会いしたのは、あきよさん根多加良さん

みなさんありがとうございました。遠くまで行くといいことがあります。(自分のなかに)実在するひとが増えてゆく。

表彰式のあと、タカスギさんと五十嵐さんとお昼をご一緒する。お忙しいところを…。しかも、タカスギさんに缶バッジまでいただく。ご馳走していただく。その上、五十嵐さんを東京見物に付き合わせる。なんて手のかかるわたしだ。へへへ。

親切に触れる、とてもいい1日でした。お世話になりました。ありがとうございます!

彫り物デート、かなり満喫しました。朝倉彫塑館と東京国立博物館の仏像展。

  

あ、今回の東京訪問でも駅員さんに迷惑をかけたのだった。あと1回くらい行けば大丈夫になるとおもうんだけどな~。

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ちょっと旅

明日は東京に行く予定です。もう新幹線のお金も払ってしまったので、行く。

前回ひとりで東京に行ったとき、東京駅から出られなかったわたしだ。地下鉄の乗り換えもできなかったわたしだ。かみさま、どうか無事に帰ってこられますように。ついでに富士山の見える方の窓に座れますように。

緊張で吐き気がしてきた。うえ。

   

と、いうわけで。「点字ものがたり2006」に作品をだしましたので、ひっそりとこっそりと見学に行ってきます。

アラ、夕やけだんだんなら近所だわ…、という方は是非。そういうわけじゃない方も是非。

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おもいやり

鋏を渡すとき、刃の方を掌に包んでひとに渡します。当然です。

では、ホッチキスではどうでしょうか。

安全を考えると、やはりカパッと開いた方と反対側を相手に向けるべきだろうか…とおもう。実際に牙をむいてくる(針が刺さる)のはカパッと側なんだし。

ただ、パッと見た感じではカパッとなったのと逆の方が鋭角チックだ。鋭い方を人に向ける…それはそれでどうなのか。

ゴールデンルールではどうなっているんだろう。最もスマートとされるホッチキスの受け渡し。

横か。まさか横か。

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いろんなブログたち

職場のひとに、「ブログすき?」と訊いてみると、毎日チェックしているブログがふたつもあるという。両方ともホストの。

携帯から見られるというので、見せてもらった。

今日はドンペリが何本、とか、飲みすぎて肝臓が…というのを期待していたのだが、割と普通だった。オフにお散歩したり、パスタゆでたりもしてた。ホストならではの話題は少なめだった。もちろん、それでもわたしの生活の10倍以上は華やかだけれども。

絵文字もいっぱい。

わたしがそのブログを読んでいるそばから、職場のひとがいろいろな解説をしてくれる。彼の人となりについてとか、(ホスト界の)伝説の先輩についてとか、新人がいかにつらい暮らしをおくっているかとか。

彼女はこれから先、そのブログで得た知識をどこで披露するつもりなのか。

ちなみに実際にお店に足を踏み入れたことは、まだないそうです。

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マジックカット?

個包装になっている食べものは、開封しやすいように切れ込みが入っているでしょう。

   

多すぎやしませんか?「東京ばな奈」の切れ込み。

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日進月歩

友人とコピー屋さんに行って、大量にコピーをする。

普段わたしはコピー機に慣れ親しんでいるため、唯一使える機械がコピー機といっても過言ではない。紙詰まりにだって躊躇しないぜ。

ところが、一緒に行った友人はそうではない。割と最新型の機械を見て、ありえないくらいテンションがあがっていた。

道理でコピー屋さんに着く前から、話がかみ合わなかったはずだ。「え?あなたコピーじゃなくてガリ版とかそういうのでやるの?」とおもった。それぐらい大げさだったのだ。何時間かかるかなぁ、とか言ってるし。

紙送りから吸い込まれる紙の束をみて、ひとりで話し続ける友人。2枚のA4原稿が、1枚のA3になって出てきた!と言っては感嘆の声をあげている。

連れてきて、本当によかった。

いつもは不躾な言動で、友人に怒られてばかりのわたしだが、これからは定期的にコピーとりの雄姿を見せつけていこうとおもう。

ほら両面だよ~。

製本仕様だよ~。

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こひつじ

来年から大殺界だといわれる。

職場に占いに詳しいひとがいて、大殺界大殺界といわれるのでかなり恐ろしくなってしまった。

なんかずっと耐えなきゃいけないんだって。悪いことが何も起こらないほうがもっとだめなんだって。新しいこと始めちゃだめなんだって。でも生きていかなきゃいけないんだしさー。

わたしの周りには、大殺界なのに引っ越したひとがいる。結婚したひとがいる。家を買ったひとがいる。でもみんな今のところ大丈夫そうだ。そして大殺界だからか、転勤になったひともいる。へんな役職についたひともいる。でもとりあえず大丈夫そうだ。

まぁ何とかなるだろう、とおもいつつも、これで運がよくなる…的な本を立ち読みしてしまう自分がいる。もう何を信じていいのかさえ解らない。やるべきことも見えてこないよ!

とりあえず学んだことは、ものを捨てて善行を積んで、大殺界を弁えつつ耐え忍び、マイナスなことは考えないで、心が動いたことは魂が求めているからやってみる…というところだろうか。

忙しすぎるわ!どうにかなってしまいそうだ。

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わたしは持ってない

仕事柄、ひとの免許証などをみる機会がたくさんある。毎日ある。

で、割とおもうのは「君は本人なのか?」ということだ。

証明写真は大概が人相が悪くなってしまうので、多分絶対本人なんだろうな~とおもいつつも、?が残ってしまう。

でも、そういうことじゃなくて。

明らかに地味めな写真なのに、ご本人はギャルだ(デビューか!)とか、金髪だったのにピシッと社会人な彼とか、ああ…この写真を撮ってからの人生が、激変期だったんだろうなぁ…とついついおもいを馳せてしまうわけだ。勝手に波乱万丈。

稀に奇跡のダイエットに成功している方もいて、おそらくいつも疑いの目でみられていらっしゃるのだろう「信じられないでしょうけど、これは僕です!ホラこのほくろ!」と、こちらが二度見するより先に、自己申告してくださったりする。

歳を重ねるごとに素敵になれるってすばらしいですね、というお話。

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きづいたこと

ヨーグルトキャラメルはおいしい。

久しぶりにたべたら、あまりにおいしくて、一粒を10回くらい噛んだらすぐ口からなくなってしまった。

そう人に話したら、おおげさだよ!と笑われた。でも、その人にも1個あげたら、自分でもわざわざ1箱買い求めていた。

ヨーグルトキャラメルをがっつかなくてすむようになった時、人はおとなになる。それまで、たべ続けるんだ!とその人は言った。

でも、子供の頃それほどヨーグルトキャラメルに魅力を感じていなかった。むしろ、がっかりしていなかったか。ハイチュウとかはすきだったけど。

この気持ちは、もしかすると退化か。

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言わないで

「○○って呼んでね」って言えない。

下の名前で呼んで…とか、愛称を自分からカミングアウトして…とか、そういうことを自らしたことがない。

いつも苗字にさん付けで呼ばれ続けようが、あだ名がいつのまにか付けられていようが、全面的に相手に委ねてきた。ま、大概の方がそうなんでしょうが。

ただ実は今まで黙してはいたが、呼び名に関してお願いがある。

   

クリステルとは呼ばないで、ということだ。

  

日常的に呼ばれているわけではないが、たまにそう呼ぶひとがいる。職場に来る配送業者さんとか、友達の彼氏とか。わたしの姿を見たうえで呼ばれるのはまだいいのだが、友達の彼氏なんて会った途端にニヤッとしてんじゃん。

廉太郎でもピエールでも、なんでもいいですがクリステルはちょっと…。

あの、ほんと、扁平なので。

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 帰り道に煌々と、一軒の夜店がでていた。小綺麗とはいえないような婆さんが、ひとりで店番をしている。

 何屋だろう、と横目で伺うと、ぼんやりとスルメをしがんでいた婆さんが、バシンと私の顔面に飛びついてきた。老女離れというよりももはや、人間離れしたその動作の素早さに、回避する余裕は全くなかった。

 一瞬、婆さんが私の顔に貼りついてきたかのように感じたが、彼女は売りものである面を私に被せてきただけらしい。

 すまんことをした。

 婆さんは特に申し訳なさそうな素振りも見せずに言った、あんたの顔が大層うるうるとしていて、よく面に馴染みそうだったからさ。

 指先で面のおもてに触れてみたが、その形状が何故だかちっとも頭にはいらない。

 婆さんは満足そうに、やせた歯茎をむきだして笑う。私は、おかめとかひょっとこだったら嫌だな、とはおもうが、それほど困ったというわけではなかった。

 

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こども目線

幼稚園に通う女の子に、似顔絵を描いてもらった。勿論わたしの子ではない。

目がぱっちりしていて、実物の何割か増しで可愛く描いてもらえた。よかった。

絵を見せてくれながら、解説もしてくれる。「まつげがぴっぴってなってたから、ホラこれ(絵のわたし)も~」

そうかー、ありがとー。絵の中の睫毛はただたんに女性としての記号かとおもってたよ。

そうかー、わたし睫毛をカールしすぎているのかもねー。気ィつけるねー。

こどもに指摘されて改めて意識する、己の化粧法。

女子の皆さん!普段やりすぎたり、やらなさすぎたりするお化粧を見直すきっかけはこれじゃなかろうか。

あら何?おてもやん?という絵を描いてもらったあなたは、チークをつけすぎています。極端に濃い赤や紫をお顔に塗られてしまったら、夜の蝶かとおもわれていますよ。

ちなみに描いてもらった絵はお財布に入れている。いいことあるかな。

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特効薬

久しぶりに寝込んだ。

今回は特濃のイソジン液でうがいをしなかったので、びっくりするくらい父が冷たかった。(6月2日の日記

わたしは、寝込むと母のつくったたまごうどんをたべないと、熱が下がらないのだが、それをつくる母も面倒くさそうだった。

やけにつらかったのは風邪のせいだけじゃなかったはずだ。

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うたたね

借りたDVDをいい加減返さないと、と朝からテレビの前に座っていた。

寝転んだくつろぎ体勢で観ていたら、案の定うつらうつらしてしまった。

夢をみた。夢のなかでわたしは、実際に愛用している赤いストールを失くして探し回っていた。その途中。

画面から聞こえる叫び声で目がさめて、あー…夢か…ストールがなくなってなくてヨカッター…と、まず考える。DVD最初から観直さなきゃなー…。

そして、気づいた。まてよ。

夢のなかのわたしは、まだストールを探しているに違いない。

それはいかんだろう、とわたしはもう一度眠ることにした。ところが、テレビの音がところどころ耳について、夢に深く潜れないのだ。

ここは集中して眠りたい。テレビを切って、寝た。

最初は「現実にストールはちゃんとあるから!」と言ってくればいいからすぐに済むや、とおもっていたのだが、なんとなく言いだせず、結局見つかるまで探す羽目になってしまった。

そういうわけで、今日はとても疲れました。

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ご家庭の色

ショックなことがあった。

お昼休みに歯を磨いていて、ちょっとした会話から、職場の女子の実に8割が歯磨きの際にコップでうがいする…ということが発覚したのだ。

あのひとだけは絶対手でうがい派だ(キャラ的に)!とおもっていたひとでさえ、職場にコップを持ってくるのが面倒だから手ですくってうがいをするけれど、家ではコップだった。

みんな家なのにちゃんとしてる。

わたしはもちろん手でうがい派だ。口の端の歯磨き粉もすぐとれるし、うがいから洗顔に流れる動作も非常にスムーズ。

うちでは洗面所のコップはあくまで歯ブラシを立てておくものであって、イソジン以外では使うことはない。

「ドラマで歯を磨くときに、みんな絶対コップ持ってるじゃないですか」と言われたが、それはあまりにもベタな発想だとおもっていたのだ。

小学生の頃、朝に友人を家まで迎えに行ったら、玄関先にでてきた友人のお父さんがパジャマ姿に三角の帽子をかぶっていた…そのときに感じたくらいの衝撃があった。

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やってみよう

不二家のペコちゃんのように、舌を横にだします。そしてそのままウインクします。

どうですか?

舌をだしている方の目しか瞑れないでしょう。

すごく頑張れば、逆の目も瞑ることができるけれど、機械仕掛けみたいで面白くなるんだ。

  

で、なんでこんなことに気づいたのかということには、触れないでほしいんだ。

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わっぱ愛

気分的に沈んだりすることがあると、料理の本をみる。ただ実生活であまり役立てないので、わたしが唯一日常的におこなう料理、おべんとうづくりの本を買うのが常である。

おいしそうなおべんとう。お箸やつつむ布もかわいいのがたくさんあるなぁ。

おとなのための和っぽいおべんとうでは、曲げわっぱのおべんとう箱がよく登場する。かくいうわたしも1年ほど前から愛用している。1年経った今でも、包みを解くたび嬉しさではっとなる。

でも。

おべんとう本の写真では、堂々と、直接、ごはんやおかずが盛り付けられているではないか!

そんなことしたら、素材の木の部分におかずの汁とかあぶらが滲みちゃうじゃないか。わっぱは水洗いしかできないんだよ?汁もれとかもしないの?隙間にごはんつぶとか練り込まれちゃったりとか大丈夫?

わたしはいつも、ラップをしいてから詰めてる。そいでも、第1日目に蓋に塩昆布のしみがついてしまってからは、もう全体的にラップで覆ってる。木の匂いとかは、わっぱを直接かぐことにしてる。

余計な水気を吸いとってくれる、というわっぱの長所をわたしは殺してしまっているのだろう。でも、わたしはわたしなりのやり方でわっぱを愛している。

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こわいサービス

最近化粧品を買いはじめた店は、いつも試供品をたくさんくれる。

「今、お試しになりたい商品はございますか?」と大概のものをくれる。「○○をください」と言って貰ったあとに、更に「他はどうされます?」

え…いや、ほかはもう…充分です…。

わたしは貧乏性なので、試供品が苦手なのだ。勿体なくて使えない。

新商品のシャンプーの試供品を貰っても、その小袋を開封することができなくて普通に買いにいってしまう。いっぱいあるって安心だ。

ヨックモックやユーハイムなどのおいしいお菓子が頂きものでうちにあっても、ちびちび食べているうちに賞味期限が来たり、しけってしまったり。

貧乏性だけど賞味期限には厳しい。自分でも、何でそんなに気になるのかは解らない。

しけったのは平気だ。せんべいがしけっていると、ラッキーだとおもう。

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