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お告げ

あかちゃんの話を夕食の時に父にしていたら、いきなりわたしが幼い頃の話を語り始めた。遠い目で。

1歳を過ぎてもはいはいのできないわたしを、両親はそれはそれは心配していたそうだ。病院に検査を受けに行ったりもしたらしい。

ところがある日、父が仕事から帰ってみると、わが子がそこいらを駆け回っているではないか!結構な勢いで。嬉しいと言うよりはだまされているかのようだった…と、父は言う。

勿論、そんな小さい頃のことは憶えてはいないが、当時の自分の気持ちは解る気がする。

わたしは小学校3年の夏まで、泳げなかった。泳ぐ気も、泳げる気もしなかった。みんなが25メートルを泳いでいる間、わたしは水に顔をつけて25メートルを歩いていた。ビート板とかヘルパーをつけても泳げなかった。

それがある日、悟ったのだ。わたし、泳げるんじゃねぇの?

で、やってみたら泳げた。泳げたら嬉しくなって3キロぐらい泳いだ。その日は先生に呼びだされた。

幼少の頃のわたしも、こんな感じだったんだろうな。何かよく解んないけど、目線が高い!くらいのもので。

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赤子心

夜中の1時過ぎ、最近いつも近所のあかちゃんが夜泣きしはじめる。親御さんは大変だなぁ、とおもう。

あかちゃんはよく泣く。あんまり涙が出てないこともあるけれど、力いっぱい泣く。

職場にも、あかちゃんを持つひとがいる。聞くところによるとあかちゃんは、おなかがすいた!と泣く以外に、眠たくなったら泣きだすらしい。何泣いてんだ。

眠たかったら寝ればいいのに。そっちの方がよっぽどすんなりいくじゃないか。

もしかして、昼間寝すぎて体力が有り余っているのだろうか。じゃあ、昼間うとうとしはじめた頃を見計らって、すかさず起こしてやるのはどうか。迷惑か。

わたしが親になったら、本をかいたらどうだろう。「規則正しいあかちゃんの生活」。日の出とともに起きだして、日が沈んだら眠るあかちゃん。夜に泣く暇もなく、睡眠を貪るあかちゃん。

可愛い子供に育つのだろうか。

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おとなになる

最近、近所のおばさまと多少のお話ができるようになって、大人になったなぁ…と感心する。

梅雨が明けて、夏本番ですねー、とか、職場のクーラーがきつくて…体を温める方法何かないですかねー、とか。

でもやはり、わたしのやることなのでムラがある。うっかり話を聞いてなかったりする。

とりあえず笑顔でやりすごそうとおもったら、不意に包まれる沈黙。あ、わたしがしゃべる番になっているんだ。どうしよう、予測がつかないくらいうわの空だった。わからない、わからないよ!

「……もー、ねーぇ」

苦し紛れに言葉を発したが、おばさまは怪訝な表情。しまった!相槌違いか!

まだまだなんだな、と嬉しいような悲しいような気持ちになる。おばさまから頂いたすごい蛍光色の毛糸の靴下と、毛糸のたわし(洗剤いらずらしい)を抱えながら。

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ネコバスこわい

「となりのトトロ」を妹と観る。わたしは毎夏のように観ている気がするが、妹は小学校以来らしく、新鮮なキモチで観ていたようだ。

サツキとメイの姉妹具合がお互いと重なって、苦々しい気分になること甚だしい。というか、妹の傍若無人ぶりについての共感が主だったけれど。

 

メイが「おじゃまたくし(おたまじゃくし)」とか言ってた。早く直さないといけないね、と妹がわたしを見る。

それは、おとなになってもわたしが「ふいんき(雰囲気)」とか「オードソックス」とか言ってたからか。

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逡巡

空席がぱらぱらとある電車に乗り込んだとき、ちょっと迷う。

女性の隣が空いていれば、ためらいなくその隣に座るのだが、問題は若い男性とおじさんの隣の席が空いているのに同時に気づいたときだ。

え…どっちに座ろう…。

若いひとの横に座ったら、おじさんは傷つくのだろうか。どうせ俺なんて…と帰り道の街灯の下で、深くため息をついたりしちゃうのだろうか。できない!わたしには若いひとを選ぶことなんて、できないよ!おじさんだって、昔はお兄さんだったんだから!

おじさん…!と、その席に滑り込むと、2人掛けの座席でおじさんは靴を脱いで、すっかりリラックスモードだ。黒の靴下からうっすらスネ毛が透けている。

おじさん、足を組むのはいいけれど、せめて足の裏があっちを向くようにしてはくれないか。

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マーブル空気

蒸し暑い。

外にでるのが本気で嫌なこの季節。もうずっと日陰でじっとしてたい。

だけどこの季節だからこその、おたのしみがある。マーブル空気だ。

街を歩いていると、出入り口を開放しているお店から流れでてくる冷気があるでしょう。あれがいい。最高だ。

あついあついあついひゃっこ~い…あついあついあついあつい………あつい

普通にクーラーのかかっている室内にいる時よりも、すごく幸福を感じる。冷気をだだ逃しにしているなんて、どれほどお金持ちなんだ!わたしの母ならば激怒だ

類似マーブルに、まだほの温かい麦茶に氷を入れてのむ時、というのもある。ぬるい箇所とつめたい箇所を同時に口にいれるのがポイントだ。いっしゅん!その一瞬!

そういえば、昔海水浴に行くと、突然ぬるく感じるところが海には何ヶ所かあった。あれはどう解釈していいのだろうか。

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腹から!

大の苦手のカラオケへ行く。一年ぶり、多分それ以上だ。

うたうのは嫌いではないのだ。普段からハナウタをふがふがうたっている。ハナウタの範疇を超えているくらい熱唱していることもある。

でも、マイクを持つのがイヤだ。マイクから流れる自分の声を聞くのがイヤだ。

そんなわたしに、活路が…。今回は、マイクを使わずカラオケするひとをはじめて見た。カラオケ嫌いの打開策はこれではないかとおもうのだ。

マイクを使わなくても済むくらいの声量を手に入れればいい。

普段、どうでもいいようなシーン(むしろ全くそぐわないシーン)で、突然通ってしまう声を持つわたしにならできるはずだ。

これからは腹筋、腹筋!そして発声練習で、おそらく一年後であろう次回のカラオケに備えよう!

らー♪

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見ないで!

立食形式とかバイキングとか、ご自由におとり下さい的な食事が苦手だ。自宅で大皿料理は気にならないのに。

「わたしはコレが食べたいんです!」という欲望が滲みでているようで、照れくさい。

皿を片手にサラダバー、なわたしを、みんながじっと見ている気がする。あ、あのひと盛りすぎよ…とか、あんなにちょっとしか盛らなくて、ぶってるんじゃないかしら…とかおもわれてるような気がする。

実際は誰もそんなこと、考えてたりしない。みんな自分の食べものに夢中だ。

そういえば、妹と沖縄へ旅行した帰りの飛行機で、ひとりでちんすこうを食べはじめたわたしを見て、妹が異常に驚いていた。食事の時間でもないのに、わたしが自主的に人前でものを口にするのは非常に珍しいことなのだそうだ。

なんだその他人目線。わたしたち、ずっと一緒に暮らしてきた家族なんだよね?

食に関することになると、もしかしてわたしはかなり面倒くさいひとなんじゃないか…と、かなり不安だ。

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カワカミさん

ひとの言っていることが解らないことがある。

別に難しいことを話されているわけではない。でも、どんなに聞き返しても、ただの音としか感じられないことが多々ある。

今日も来客が「ハワカ二ネス」と連発してくるので、ほんとにどうしようかとおもった。2,3回聞き返して、ようやく名前を名乗っていらっしゃるのだ、というところまでこじつけたが、上司にどう伝えてよいものやら、解らない。かといって、もう相手には聞き返せない。

失礼します、…ナヮーナニさんがお越しです。

できる限り音のニュアンスを真似て、ごにゃっとさせて誤魔化す。

「え?」 …ハヮマニサーです。

「ん?」 ……ナニサヮです。

唇はなるべく動かさないのがポイントだ。どんどん音が変わっていくけど。

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揺さぶられる

ひとによるのだろうけれども。

バブル期を謳歌した女性には、特有の力強さがあるなぁ、とおもった。

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容疑

ドラマを見ていると、刑事さんの聞き込みシーンがよくある。「あなたは(事件のあった)4日前の夜、何をしていましたか?」というやつだ。

もし聞き込まれてしまったらどうしよう。昨日の晩ごはんさえ怪しいわたしが、4日前のことを覚えていられるとはとてもおもえない。

4日前…何曜日でしたっけ?あ、火曜日ね、火曜の夜ってどんなテレビやってましたっけ??……観てないなぁ……。う~ん、何してたかっていわれても…。あ、職場のひとに聞けば解るかもしれません!

疑わしいことこの上ない。わたしがやったんじゃない!それだけは自信を持って言えるのに。

そんなこと犯人だって言う。

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忍び寄る魔の手

トラックバックというところに、知らないひとがなにかをしている。何が行われているんだろう?

とりあえず、発見すれば消して回っているんだけれど、もしかして潰しにかかられているのだろうか。

ブログ界からでていけ!という圧力だ。まだ何も悪いことはしていないのに(多分)。さては、わたしを恐れているんだな…!

もしくは、ここは君の来るところじゃない!と誰かイイヤツが発しているサインなのかもしれない。戻りたまえ的な。あらら、ごめん消しちゃったよ。

最近やらなくてはいけないことが多すぎるのに、何故か現実逃避をして漫画のワンピースを読み始めた。職場の休憩室に置いてあるのだ。

おかげで毎日が海賊気分だ。

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最初で最後かも

いただいた、と言っても大丈夫なのでしょうか。春名トモコさんから「好きな人バトン」という、なんとも可愛らしいものをいただきました。

女子ね、女子なのよ!

というわけで、答えてみようとおもいます。

が、30の設問を書き写していくだけでも、相当疲れますね。絶対簡単な方法があるんでしょうね。

でも人に聞くのがめんどくさくて、いつもチラシの裏を多用してしまいます。そういえば、手帳をわざわざ開けるのが面倒、と言って卓上カレンダーをイチから手作りしていた友人のことをおもいだしました。

いろいろなひとがいて、世の中はまわっているのだなぁ。

           

コメント欄に「好きな人バトン」をのせてます。長くてびっくりします。春名さん、ありがとうございます!

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善良なひとを考える

わたしに足りないのは、「善良なひと感」なのではないか。昼休み、シフトの関係で独りぼっちだったので、そんなことばかりを考えていた。

お菓子を半分こしたら、すかさず大きいほうを相手にあげる(むしろ相手側を大きく割るくらいの勢いで)とか、晩ごはんがおでんでも、たまごは1個でがまんするとか。そういうことからはじめればいいのだろうか。お菓子はよそのひととならそうするけど…。家族になら確実に分けないかもしれない。おでんのたまごは無理だ。譲れない。

大掛かりなところでは、犬ずきを装うとか。

犬は嫌いではないんだけど、突然ほえたりするからな。なんだか成分がよく解らない液体で、鼻をぬらしているのも気になる。

犬の鼻はぬれているのが健康だというけれど、あれをふーふー乾かしてやると、途端に体調を崩すのだろうか。しつこくしつこく拭いてあげるとか。

犬はこわい。

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世界友達の輪プロジェクト

白いふわふわのスカートが流行っているのか。そういう姿の女の子たちがよく目につく。かわいい。

ただ、たまに透けてしまっているお嬢さんがいて、ハラハラさせられる。

はがゆい…わたしがあなたと友達ならば…。二重三重にペチコートを穿かせてやるのに!

そこでわたしはここに、ひとつのプロジェクトを立ち上げたい所存だ。活動内容は、白スカートの乙女を守ること。友達になるための具体案はなにひとつ用意してはいないが、できればさりげない作戦を立てたい。

こんなことばかり考えているから、会って3日目のひとに、オッサンくさいと言われてしまうのだろうか。

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画期的Tシャツ

夏になって、ひとのTシャツを見るのがたのしい。絵もいいけど、できれば字の書いてあるものをみるのがすきだ。

乗車待ちのときも、何となく前に立っている女性のTシャツを見ていた。緑のTシャツの背中に「耳が大きな空飛ぶ象…それは世界中の子供たちに夢を運びます」みたいなことが、英語で書いてあるのが読み取れた。(わたしの拙い語学力ですが)

ああ、ダンボ…だよね。

ディズニーにすごく興味があるわけではないが、ディズニーのキャラクターの服を着ているひとの顔を、ひと目でも見ないと気がすまない…という悪癖がわたしにはある。で、さりげなく彼女の正面の座席に腰掛けた。…ぇえ?!

そのTシャツの正面側には、愛らしさのかけらの全くない、リアル象が描かれていたのだ!

背中に生えている毛さえも、正確に表現。なぜかシャワーを浴びている。耳も特筆するほどでかくない。

あのTシャツを見て、ディズニーさんはお怒りになるのだろうか。

本当は、ダンボTをつくりたいけど、色々問題あるしなー…ってことだろうか。それとも、ダンボのほうをみんなが求めているんだ、と解っているけれども、リアルな象Tをつくりたい…そういう製作者側の情熱の結果なのだろうか。

消費者側も、ダンボをおもわせるそのTシャツに魅力を感じたのか。ダンボなんて嫌いよ!というアンチ・ダンボ派としての表明が購買につながったのか。

誰かが幸せになったのか否か、解らない。痛みわけ、ということでよいのだろうか。

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お菓子富豪

小学生の頃、おやつに源氏パイが出されると、ものすごくイヤだった。

ちっ、しけたもん出しやがって。とおもった。

今は、わざわざ買いに行くほどすきだ。源氏パイミニも買っちゃうぞ。

ココナッツサブレもオールレーズンもバームロールも渚も。お菓子好きのおとなが、その経済力で支えてきたんだなぁ。そして微力ながらわたしも、その列に加わっている。

おやつは100円のもの?ひとつなら買ってもいい?しゃらくせえ!食べたいものを買うんだよ!(300円くらいで)

今、近所のコンビニで「モンドセレクション・フェア」が行われているため、毎日通い詰めで大変だ。

いつかお金持ちになったら、「ここからここまでのお菓子をくださる?」とかやってみたいものだ。

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佐々木

朝から、祇園祭の宵々々山へでかける。

雨が降ったりやんだりしていたせいか、山の用意が全然進んでいなかった。山は神輿ではないけれど、神輿みたいな形状(?)のものです(乱暴な説明)。鉾ほど大きくないやつ。

今年は金、土、日が宵山にあたるせいもあり、例年よりも昼間から人出が早かったのに。

フランクフルトとか、かき氷の屋台の準備は恐ろしく早かったのに。

祇園祭は、夏に弱いわたしの唯一のおたのしみなのに…。わたしのなかの情熱は、イマイチ盛り上がりを見せないまま帰ってきてしまった。

   

ところで「々」という字はどうやったら、パソコンで変換できるんだろう。いつもとりあえず、佐々木と打ってから使っている。

宵佐々木佐々木山。

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ちょっとした恐怖

うちの母は話を聞くとき、「それで?」と相槌をうつ。

順調に話が進んでいるときはいいのだが、最後のオチを言い終わったあとにもまだ「それで?」と訊いてくる。

なんて貪欲なんだ!こんなオチじゃあ、もの足りないということか!

妙にあせって、いらない嘘までついてしまって、結局何が面白いとおもったのかさえ見失ってしまう。もはや、普通の話。

ちいさな子供は、いかにもなしょーもない嘘をつくことがよくあるそうだ。知恵がついてきた、と言う意味では喜ばしいことらしい。

わたしも、よく嘘をついていた。いつか舌を抜かれるのでは、地獄におちるのでは、と夜な夜な布団で涙したくらいだ。

ちいさいわたしよ、泣くな。

今の大人のわたしでさえ、母の与えるプレッシャーにはとても太刀打ちできないからだ。

 

ついちゃうって。

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おはようございます

メンテナンスが昼過ぎからだというので、その前に日記をかいておこうとおもった。

でも、起きて出掛ける用意をしただけなので、話題がない。

夢も、特にみなくて、真っ暗だった。

あさごはんは、フルーツグラノーラです。

どうせ汗で崩れてしまうのに、お化粧をするのが嫌です。

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素敵なわたしに

明日から13日まで、ココログのメンテナンスのため日記がかけなくなるそうです。知った時はショックを受けたのだが、少し早めの夏休みだとおもって、ありがたく夜遊びをしようとおもう。

日記を書きはじめてから100日と少し。遅くとも11時半には家に帰っていないと日記がかけない!と、宴もたけなわの頃合いに、涙をのんで酒席を脱けだしたりしていた。何にこんなに必死こいているのかは、自分でもよくわからない。でも、そんな自分もすきだったりする。

頑張れば、ご褒美があるんだなぁ。もう12時過ぎには帰れないカラダになってしまったんだとおもっていたのに。

ありがとうございます。

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リサイクル泣かせ

職場の飲み会で、コロナビールがおいしい…という話になる。

わたしはコロナビールをのんだことがない。ライムを瓶の中にポンといれてのむやつですよね。

のみ終わったあとの瓶には、当然ライムが取り残されるわけだ。

あのライムは一体どうするんだろう。当然、瓶は廃品回収にだすはずだ。なのに、中にはライムが!!リサイクルできないよ!洗っても洗っても、果汁で内側が汚れてしまうよ!

それとも、もうイヤってほどリサイクルされた瓶だけが、コロナビール瓶になるのだろうか。

なんて切ないのみものなんだろう…ガラス瓶として生まれ落ちたものたちの行く末、コロナビール。

これから口にする機会があれば、涙と一緒にのみ下そう。

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調査中

インテリジェンス溢れる感じの、いかにも誠実で優しそうな男のひとは、リュックサックを片方掛けにする率が高いような気がする。

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群青警報

 100日のあいだ、日照りは続いた。

 乾ききった喉をいためながら、私達は広場に立つ。落ちた影が夜より深い。空はとても高くまで澄んでいる。体をいくら縮こめていても、誰かとどこかが触れる。人熱れで私は息もつけない。

 かなしい話をしよう。

 拡声器ががなる金属音混じりのスピーチで、妙齢の女性の集団が重なりあうようにして泣きはじめた。それを遠い目で見ていた人々も、のろのろとした動作で涙を絞りだす。すすり泣きのさざ波が、わんと押し寄せる。

 恋人は私と手を繋いだまま、不器用な仕草で香水壜をとりだした。その香りで恋人の眸が濡れる。肌を焦げつかせる日差しは、湧きでる水を乾かしてゆく。恋人の頬に白い跡が残った。

 はやく泣きなさい。

 見知らぬ男が私を急かし、黒くつややかな目玉が一斉に私へ向く。恋人は私をそっちのけで号泣している。壜の中身が干上がったと言っては喚き、涙の結晶がしみると言っては呻いている。

 どるどると渦巻く熱の真ん中で、私の汗は蒸発してゆく。

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帰宅途中に懺悔

すごくすごく疲れているときに、電車の座席に座っていて、目の前にお年寄りが立つとどうしようかとおもう。しかもそのお年寄りが、明らかに遊びに行った帰りであれば尚更だ。

譲らなきゃ。でも今日はほんとに疲れてるんだ…。

いけないことだとはおもうけれど、どうしても立てないときはある、そういう時。

すいません…年金払ってるんで今日のところは勘弁してください…。

そうおもって目を閉じる。

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あなたもですか!

ちょっとした悩みのひとつに、マンションの隣の部屋の人の顔がおぼえられない…というのがある。

いつも息子さんやお父さんが、元気よく挨拶をしてくださる。なんとなく挨拶を返しながら、フランクな人だなぁ…と考えていると、その姿が隣の家のドアに消えてゆく。

ああ…よく見るんだよな~とはおもってた。おもってたよ!

ところが今日、エレベーターで一緒になった奥さんが「何階ですか?」と笑顔で訊いてくれた。

そして2人はなんとなく同じ順路をたどり、隣り合ったドアの前へ立つ。

鍵を探りながら、わたし達はとても気まずかった。

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夢オチ

中田英寿選手ファンの、母の憔悴ぶりが凄い。

ゆうべはよく眠れず、今日は仕事も手につかなかったらしい。帰ってからも、ホームページの引退メッセージを読むか、ニュースを見るか、家族にナカタの話をするか。我が家はナカタ色に染まりまくっている。

サッカーを観ないわたしにとって、母が提供するナカタの話題が唯一のサッカーだった。母がいなければ、「ナカタっていうマフラーの長いひと」程度の認識しかなかっただろう。まぁ、そんなに今も変わらないけど。

明日になったら、引退は嘘だった…ってことないかなぁ。と、遠い目をする母。

ナカタのようなサングラス、ナカタの今読んでいる本、ナカタデザイン東ハトキャラメルコーン。…あ、なんだかわたしまで泣きそうになってきた。

いつもクールなナカタの本心を、うちの母だけはわかってあげていたのに…(と、母が申しておりますので…)。戻ってきてくれるなら、今までよりももっと応援する、とも言っている(家族としてはそれはご遠慮いただきたい)。ナカタ、それでも辞めちゃうんだね。

以前から母は、ナカタがサッカーを辞めるなら、うちの息子になってほしい!と何度も言っていた。

わたしはナカタを兄として慕ってゆけるのだろうか。

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結び目

 出来心だったのです。

 愛らしいような、つめたいような、濡れたような目をしたへびは言った。そのカラダはぐるぐると、別のへびのカラダと絡みあっていた。

 ほどいてもらえませんか、と声をかけられたのは、近所の堤防である。水辺のつよい風が、私達のあいだを吹き抜ける。

 苦手なのよ、へび。

 失礼を承知で言ってはみたが、やはりしおらしくなったへびを見て、胸が痛んだ。

 抜き差しならなくなって、手を伸ばす。へび達はくすぐったがってころころ転がる。皮膚の触れあうところから、しゃらしゃらと鱗の鳴る音がする。

 あんたたちも努力してよ。

 懸命になればなるほどに、私の指がすべって、へびは固くちいさく結ばれていってしまう。

 ゆうべ、爪を深く切りすぎたせいだ。

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へへん

二の腕が痛痒い。

そうおもい、確認したら蚊がいた。

   

わたしの皮膚感覚も、まだまだ捨てたもんじゃないな。

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髪を切りにいく。

終わって髪を乾かしてもらうとき、アシスタントの男の人が2人がかりでドライヤーをかけて下さる。

どんどんもしゃもしゃにされていく髪。

男の人に取り囲まれて、嬉しいのか嬉しくないのかわからない状態。とりあえず、普段は味わえないスペシャル感ではあるなぁ。

担当の美容師さんが暇なときは、3人が所狭しと群がることもある。

自分でできますから!…身の細るおもいだ。

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