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輪ゴム考

輪ゴムって買ったことがない。

あーもうすぐなくなりそうだな、とおもって見ていると、輪ゴムは微妙に増える。それで何となくやり過ごす。たまに引き出しのなかから見つかったりもする。運が悪ければ、ぶちぶちになっているけれど。

そんな個人では買うことのない輪ゴムを、わたしの職場では大量購入している。そのパッケージはまるで小麦粉だ。その輪ゴム達は、みるみるうちにあちこちへ散ってゆく。お客さんへ何だかんだで渡してしまうのだ。

去っていく背中に向かって、おもう。あなたの台所の輪ゴム事情を、陰で支えているのはわたし達のようなものなのよ。

たこ焼き屋さんだけじゃ、ないのよ。

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まちがう

友人の「簡単だよ!一時間でできるよ!」という言葉に乗せられて、ブログをはじめてみる。

ひとつ記事を載せて、検索をかけてみるも私のブログは見つからない。本当にあるのか?だが、自分が何を間違えているのかが解らない。

このまま誰にも発見されることがなかったら、どうしよう。

それでも多分、ひとに確認することもなく、細々と飽きるまで続けてゆくことになるのだろうとおもう。 

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ロケット男爵

 コンビニからの帰り道、ロケット男爵に出会った。

 そんなつもりはなかったのだが、つやつやと光る腕がものすごく私好みな形だったので、ついつい連れて帰ってきてしまった。

 私は親元で暮らしている。両親に男爵を紹介しようかとも考えたが、父はあまり機械の類を快くおもっていない。結局、見つからないように男爵をシャツの中に抱いて部屋へ入った。ぴとりとした感触と冷たさに、全身の皮膚が粟立つ。予想以上に持ち重りのするカラダだった。 

 一応お客なのだから、とお茶をだしてみる。お構いなく、と男爵は言った。いい茶碗だ、しかし本当に粗茶ですね。

 弁えたひとだと感心し、あけすけなヤツだと考え直す。ロケットとは大抵失礼なものなのか、それとも爵位がそうさせるのか。

 流れるように抱き合ったそのあと、男爵は黙って立ち上がった。そしてさっさと帰り支度をはじめてしまう。引き留めたくて、私は男爵の肩を甘噛みする。チリチリと音がした。

 次会うときには、新茶買っときますよ。

 私の言葉に、男爵はひっそりと笑った。

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