絵本を創る展の豆本

大阪のギャラリーびー玉さんにて催された“絵本を創る展”に参加しました。
 
会場に展示されているアーティストの四枚の絵に物語をつける、という企画だったのですが、ミズタニカエコさんの作品のために書いた物語を豆本にしていただきました。
 
 
現物はギャラリーにあるので、「大阪は遠いわ!」という方が殆どだとおもいますが、「どんなもんだかわからないけど欲しいわ~」という方は、年内にタキガワまでお知らせください。
 
1冊800円です。損はさせません(ミズタニさんの絵が)。
 
なお手作り品のうえ、他アーティストの作品の注文状況により、お届けまでに時間がかかることをご了承ください。予定では2か月ほどだそうです。
 

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作品掲載のこと

もはやお知らせというより個人の備忘録だわ。
 

超短編マッチ箱 「幻想植物ポケット図鑑」 に「クモノスカズラ」
闇擽        「シメ・シ・アワセ」 に「杢の節句」
  
を掲載していただきました。
 
今年はチェックを怠って、好みの企画や面白そうな企画をいくつも逃しました。
はぁ、どうしたものかなぁ。ツイッターとかやればいいのかなぁ。

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夏のおもいで3 おたきさん

小学校の同窓会があった。

わたしは転校生だったんだけれど、転入してきたときにまず「前の学校で何て呼ばれてた?」と訊かれた。わたしが「たーちゃん」と答えると、クラスメイト達はしばらく思案した末、わたしのあだ名を決めてくれることになった。
 
そして後日開かれた学級会で、いくつかの候補の中からほぼ満場一致でわたしの新しいあだ名は「おたきさん」に決まった。その古風な響きを受け入れることは、齢8つのわたしには厳しいものだったが、何も言えなかった。
 
気に病まなくても、じきに「おたきさん」は「おたき」になって、中学校までには「たき」とか「たっきー」になった。
 
その宴のあいだ、わたしは席をちょこちょこと移動できるタイプではないので、ずっと同じ場所で同じ人達と話をしていた。
 
面子は、きーちゃんとひーちゃんといーちゃんという子達だったんだけれど、呼びかけているうちに何度かこんがらがってしまった。

当時はそれぞれが違う子とつるんでいたから、不便はなかったのかもしれないが、そりゃまぁ「たーちゃん」ではだめよね。わたしが「たーちゃん」のままだったらこの席はもう一段階複雑になっていたよね。

 
 
でも何故か、今回の同窓会ではみんながみんなわたしのことを、下の名前で呼んでいた。
 
あの学級会での多数決は何だったんだ。 忘れてんじゃねぇ。

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夏のおもいで2 時限装置

わたしはわりかし物持ちがいいほうで、革製品はなかなかこなれた風合いにならないし、洋服も10年以上着ているよそ行きが結構ある。持ち物は、価格にかかわらずそれなりの手入れをしているつもりだ。

でも今年の夏は手持ちの合成皮革製品の当たり年だったのか、強い日差しに耐えられなかったのか、外出するたびにサンダルや靴が壊れてゆくという夏だった。
 
一応、合皮は経年劣化するということは心得ているので、使う前によく確かめておくのだけれど、ついさっき、今の今まで健在だった合皮の表面に1センチほどの裂け目を発見した瞬間、そのお出掛けは終わる。
 
使用中に死を迎えた合皮が朽ちてゆくスピードの非情さは、経験した者しか知り得ないだろう。それはもううっかり倒しちゃったドミノほどの速さで、わたしは到底隠し切れないほどのモロモロ(残骸)にまみれる羽目になる。
 
激しく壊れた合皮にまみれて街で途方に暮れているひとなんて、自分以外に見たことがないのだけれど、一般的に合皮製品は一気に使い込んで、命あるうちに処分するものなのだろうか。それとも誰にも知られずひっそりとクローゼットでこと切れる合皮が多いのだろうか。
 
合皮との付き合いを見つめ直す夏。

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夏のおもいで1 モロヘイヤ

秋ですわ!
 
ああ、またもやブログを仮死状態にしてしまったわ……と反省しています。
更新しようと用意していたらしきメモを発見しましたので、いくつかご紹介しようとおもいます。

 
 
この夏は(も)、野菜の価格が高かったとのことで、我が家は価格の安定していたモロヘイヤをよく食べていた。
束にして売られているモロヘイヤの葉っぱを、茎からプチプチ外してゆくその行為に、わたしはひと夏の間ずっと悩まされていた。

一食につき二束分のモロヘイヤの葉っぱを取るのだけれど、あまりの面倒くささにずっと足踏みをしていた気がする。苛々して。
 
しかし、わたしは日に一度は青菜を食べないと気が済まないという性分ゆえ、自分が招いた結果といわれれば当然で、一応黙ってプチプチと葉を取り続けたのである。
 
わたしとモロヘイヤとの出会いは、高校生の頃だ。友人とふたりで行ったアフリカ料理のお店のメニューに“モロヘイヤのスープ”というメニューがあった。それまでにも食べたことはあったかもしれないが、当時はまだまだ野菜というよりただの葉っぱの印象が強かったようにおもう。
 
けれどそのスープをわたしも友人もひと口で気に入ってしまって、それから何度もそのお店に通った。
 
モロヘイヤの夏を過ごしたこのわたしに言わせていただけば、高校生の分際でモロヘイヤをふんだんに使ったメニューを頼むなど、生意気盛りの年頃とはいえ、おもいあがりも甚だしい。お金の問題ではない。おまえら貴族か!とタイムスリップして胸倉を掴んで揺さぶりたい気持ちだ。
 
今、あのスープを供されれば、あまりのありがたさに骨身にしみるだろう。
 
でもあのお店はもうない。
 

 

 

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コミット

小学生男子のクロッキーのモデルになったら、深々としたほうれい線を描きこまれる。
 
そりゃ人生年数がやっと二桁台に突入したばかりの男子に、デリカシーなんぞは求めてはいないけれども、ほんまにしょーもない奴らやで! とちょうどうちに来ていた妹にぼやいていると、「今日からほうれい線対策始めるんやろ?」と指摘される。
 
「おねえちゃん、割とそういうことマメに対応していくもんな。美魔女感ゼロやけど。あたし、昔からそういうの全くしぃひんから、めっちゃ旦那に怒られるし、こないだ寝しなに次男に“もっと可愛いお母さんがよかったけど、がまんする”って言って泣かれたで」
 
美魔女になれないのは、ある程度の効果がでると、すぐに忘れてやらなくなってしまうからなんだけれど、それにしても、そこまで周囲に求められてるのに全く要望に応えようとしないわたしの妹ってどてらい奴やな……と恐れ入る。
 
きみの姉は、この地球上の誰に求められるわけでもないのに、アンチエイジングの山に登ろうとしているんだぜ。
 
しかも改善されたところで、小学生は気が付かないだろう。わたしにとって80歳代と90歳代の若さの違いが曖昧なように、あいつらわたしの老け部分しか目に入っていない。今度はシミでも描かれるわ。
  
こうなったら、巷で噂の(?)ライザップばりの肉体改造でもしないと、周りの目は変わらないのかもしれない。でも、ライザップのCMは、個人的にコミット前のほうが好もしいわ~とおもう人がチラホラいて、時に魅力と努力は相関関係にないという切ない事実をわたしに知らしめる(気がする)。
 
けれど、言い訳がましくてもあえて言う。誰のためとか何のためとか自然とか不自然とか、そういう次元でほうれい線を薄くしようとしてないんで!
 
じゃあどういうつもりかは解んないけど……。
 


 
 

 

 

 

 

 

 

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7文字連作超短編

秋山真琴さん、加楽幽明さん編の「7文字でつながる連作超短編を書こう!2015」に参加しました。「シンメトリック」という作品です。

リレー形式の連作集で、前の作品の文中にある7文字を使って物語を作るという企画でした。決まりごとがある書きものは、ちゃんとできるのだろうか……と緊張しますが、自分の予定していなかった方向へ転がっていくので面白いです。
 
でなきゃ、筋肉や体育会系にうっとりしたりしません。ジンギスカンの影響ね! きっと。(ふふふ。読んだひとはわかります)
 
 
どうぞよろしくお願いします。
 
 
 
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油断しまくりですぐに野ざらし状態になるブログですが、ここに来るときはいつも「ご無沙汰しています」と言っているような気がします。まあ、なにもブログに限った話ではありませんが。ご無沙汰しています。いかがお過ごしですか。
 
辞めたんだろうな、とおもわせた頃に現れる……わたしにとって、続けるとはそういう感じのことです。嘘です。ちゃんとしてないだけです。
 
前回の日記(?)からなにをしていたんだ! と詰問されたとしたならば、「風邪をひいていました」と答えるしかなく、そんなの下手な言い訳ですよね。すみません。
 
でも、つい3日ほど前まで本当に風邪をひいていたんですよ! 半年間休みなく! 今も咳が残っていますし! 40度越えの熱も3回だしましたし! 声がれで2回スリムクラブ真栄田のようにもなりましたし!
 
周囲がインフルエンザや胃腸風邪でばたばたと倒れる中、わたしは“似たような症状だけどただの風邪”をひき続けて半年を過ごしていたわけです。それって弱いの? 強いの?
 
どうなってんだ、わたしの免疫。一斉に期限切れか。
 
 
わたしは家族と暮らしているわけですが、それでもおとなの発熱は孤独なものです。子供だったらなにかと看病してもらえるわけですが、家族は「伝染るからこっち来んな!」というスタンスですし、ごはんはありますが高熱でふらふらしている時に焼肉とかでてきますし。
 
それでも40度の熱を行ったり来たりしながら家族の存在に感謝し、ひとり暮らしだったらこの状態より孤独なのか死ぬかも……今更とかおもってたけど生き残ったらやっぱり真面目に婚活しよう……DV、モラハラどんと来い……と心から反省し、誓っていたことをたった今おもいだしました。
 
すみません、神様。もうちょっと考えさせてください。
 
 
 
 
もうしばらく風邪はひきたくないなぁ。みなさんも健康第一でお過ごしください。
 
 


 
 

 
 

 

 


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記憶の糸

近所の堤防を歩いていたら、ヨークシャーテリアがわたしの足元にぴょこぴょこと纏わりついてきた。
 
わーなんだなんだ、と戸惑っていたら、堤防の下から「ごめんなさーい」と声がした。赤い紐を持った老夫婦が、にこにことこちらを見上げていた。
 
ヨークシャーテリアを抱えて、堤防を下りていく。ご夫婦が手にしている赤い紐は、首輪ではなく前足と胴にかけるタイプのリードだったのだけれど、おふたりはその装着方法がよく解らないらしい。犬を飼ったことがないわたしが手伝って、なんとか問題は解決した。
 
旦那さんがリンちゃん(犬の名)を引いて、ゆっくりゆっくりとふたりは遠ざかってゆく。夕暮れの河原で、その仲睦まじい様子はまるでセピア色のチャーミーグリーン。

その光景を羨望のまなざしで見送りながら、わたしの心はいつまでももやもやしていた。ご夫婦の旦那さんの顔に、やけに覚えがあったのだ。けれど、旦那さんがわたしのことを意識している様子はなかったので、訊ねてみることはしなかった。でも、絶対知ってる。どこで会った人だろう。
 
考え考え歩きながら、やっぱり知ってる人に似ているというだけかなぁと諦めかけた時、ああああ!! おもいだした。
 
あの旦那さんは、わたしがかつて働いていた珈琲屋さんによく来ていたお客さんだ。
 
記憶の糸の先は網状に拡がっている。手繰ればそこに色々なものが引っかかってくる。
 
いつもカウンターのおんなじ場所に陣取っていた。普段はブレンドコーヒーだけど、月に1回だけウインナーコーヒーを頼む日があった。夏場にはアイスコーヒーにガムシロップをふたつ添えていた。「おねえちゃん、色白いなぁ。湯に入ったら薄く染まりそうなそそる肌やなぁ」とか言っては手を離さないような人だった。……あとはお察しください。
 
 
 
日頃の行いってあまり関係ないんだなぁとおもう。もしくは、あのおっさんが神様の死角にすっぽり嵌っているかだ。

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休み明けのハナウタ

うちの斜め下の部屋がリフォーム中なのだけれど、そこで作業している職人さん(一人で作業しているとおもわれる)のハナウタセレクトに心奪われる日々だ。
 
いちばん初めはQueenの「Don't stop me now」だった。唸る工具のモーター音にも負けないその熱唱ぶり。音楽業界が許せば、わたしが“日本のフレディ・マーキュリー”の称号を差し上げたい。誰があなたを止められようか。
 
季節が変わって窓を閉めることも多くなったせいか、そこまでの熱唱は聞かれなくなっていたものの、月曜日にごみをベランダでまとめている時に、仕事準備中の職人さんのハナウタがふんふん聞こえてくる。
 
あ。「Can't take my eyes off you」だ。きのう、「ジャージーボーイズ」観に行ったんかな。いいなぁ。
 
どうでしたかー? 映画面白かったですかー? って上から訊いてみたい気もするけど、絶対しない。サビ手前のフレーズの部分を♪タータ、タータ、タータタッタッタ、とサポートしたいけど、絶対しない。
 
ここ数週間の月曜日は、プリンセスプリンセスの「M」の率が高いのだけれど、職人さんはきっと「昨日のカレー、明日のパン」というドラマを観ているに違いない、とわたしはおもう。
 
ごみの袋をしばりながら、新しいごみ袋をごみ箱にセットしながら、テツコさんはどうなっちゃうんですかねー次最終回ですよ寂しいですねー、とか、心の中で職人さんに話しかけている。

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超短編読本

加楽幽明さん編集の「超短編の友 濃縮還元版」に「かみさま」という作品を掲載していただいています。
文学フリマ等でお求めいただけるとおもいます。“闇擽”さんです。
 
超短編をご存じない方にも楽しんでいただけるように……と作られた本です。
作家さんアンケートがついていて、個人的にはかなり興味津々で読みました。みんな、かっこいいなー。
 
そのアンケートを書くために、久し振りに自分の過去の作品ファイルを確かめてみたのですが、初期は原稿用紙の字がとても丁寧に書かれていて、年月とともに世俗の垢にまみれた自分を感じてしまいました。
変わっていないとおもっていても、確実に変わっているんだな。しかも、今回はちょっとだめなほう。
 
 
 
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というお知らせを、大阪文学フリマの後に書いていたのですが、ちゃんと公開できていなかったのです。
へんなタイミングになってすみません。
 

どうぞよろしくお願いします。
 

 

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